昔の外国語教育事情

戦争中に、その時代の要請に応えて、学制の全面的改革を行なう文部省令が出ました。


英語に関しては、中学校では外国語をやるが、女学校では随意科目とするとし、中学校の外国語に関しては、


「外国語の理解力及び発表力を養い、外国の事情に関して認識を得しめ、国民的自覚に資するをもって要旨とする。


外国語は、英、独、仏、支、マライ語または他の外国語を課すべし」


・・・と規定しています。


ここで注目すべきは、理解力、発表力という内容の入ってくることです。


更に、「事情」ということも、このあたりから始まったのではないかと思われます。


外国語教育の目的については、外国を知ることと、外国語の勉強そのものとの2つがあります。


昭和35年の学習指導要領に「英語を通して英語国民の日常生活、風俗習慣、物の見方などについて理解させる」という点が大きなものとして出ています。


この外国事情を知らせる方向は、明治時代には、いわゆる風物教育といって、岡倉由三郎などが盛んに唱えているところです。


昭和6年の旧制高校令には、外国語の正確な理解、それによる思想・感情の表現力養成、および学術研究への貢献ということと共に、海外諸国の文化、国情、国民性等の正しい理解、更にあわせて、健全な思想、趣味、情操の酒養ということを外国語教授の目標として示しています。


このような考えが、中学にまで移ってきたのではないかと思われます。


この外国事情の理解ということに関連して、イギリスにおける外国語教育実情調査委員会の報告である『外国語教育』の序文「なぜ近代外国語を勉強するのか」は興味深いものです。


外国語研究は外国を理解する手段であると明言しています。


外国の研究、その国の国語を身近に知らなければ深く研究できないことを学生に知らせなければならないと言い、また、ギリシャ・ローマの研究がギリシャ語・ラテン語の学習によってなされてきたように、仏、独、伊、スペインの各国の研究もできないはずはないと言っています。


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