国境なき大気汚染
大気汚染には国境がありません。
排出されるニ酸化硫黄は、国境を越えて移動するのです。
東ヨーロッパ諸国は、排出するニ酸化硫黄の68~97パーセントを送り出していますが、酸性雨として降下するニ酸化硫黄の40~91パーセントは他から入り込んだものです。
他の有害排出物にも国境は何の意味も持たないのです。
ブリガリアのルーセという町も、ドナウ川の対岸にあるルーマニアの有害工場が排出する塩素によって長年にわたり汚染されてきました。
1987年初め、この工場に対して抗議行動が起こりましたが、それがブルガリア初の環境保護運動であり、反政府の動きでもあったのです。
工場からの塩素の排出は続いており、それがブルガリアとルーマニアの関係を刺激する主要な問題になっています。
大気中に放出できない廃棄物は、西側では考えられないほど大量に、川や海に捨てられています。
たとえば、旧東ドイツ領内ハレにあるブナ化学工場は、毎日20キロもの水銀を排出していますが、これは旧西ドイツ領内ルートビヒスハーフェンにある化学工場が1年間に排出する量の10倍にあたります。